【NEWS】女性が、自分らしく生きるために。フランスと日本、そして植物療法から考える女性の健康|AMPPアジア支部設立記念レセプション
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Lyset Jensen

2026年10月2日、フランス式の植物療法「フィトテラピー」を日本の医療・教育・企業・行政とつなぐ3日間の記念イベントがスタートしました。
会場となった在日フランス商工会議所では、AMPP(仏植物療法普及医学協会)アジア支部設立発表会とレセプションが開催され、第8代ユネスコ事務局長の松浦晃一郎氏をはじめ、松峯寿美医学博士、一般財団法人日本女性財団代表理事の対馬ルリ子医学博士、昭和女子大学客員教授・ジャーナリストの白河桃子先生、AMPP創設者であり、植物療法の専門家であるベランジェール・アルナール医学博士らが登壇。
翌10月3日には、アルナール先生による女性の健康とフィトテラピーについてのセミナーをはじめ、女性のライフステージと健康、フランスと日本の女性医療の未来について考える講演が行われました。10月4日は植物療法を学ばれた方たちのそれぞれの活躍を活かしたワークショップやAMPPアジア支部発足に際して協賛企業様のギャザリングイベントが実施されました。
今回、各会場で強く感じたのは、「女性の健康は、女性自身だけが頑張って守るものではない」ということでした。
「女性だから」という理由で、語れなかったこと

レセプションで語られたのは、女性の健康を取り巻く社会の変化について。対馬ルリ子先生からは、かつて女性が、「避妊」、「中絶」、「流産」、「月経」、「セクシュアリティ」、といったテーマについて、今ほど自由に口にすることができなかった時代のお話がありました。
「母になればよい」という価値観が強く、女性自身の身体や人生について語ることさえ、どこかためらわれる。けれど、社会は少しずつ変わってきた。
その変化を生み出したのは、誰か一人の力ではなく、市民一人ひとりが声を上げてきたことなのだというメッセージが印象に残りました。
女性を「母」「妻」「働く人」といった一つの役割だけで見るのではなく、ひとりの人間として、命を持った存在として、その尊厳を大切にする。
女性の健康を考えることは、医療だけの問題ではなく、人権や社会のあり方そのものにつながっているのだと感じます。
「自分の身体を、自分で知る」ことから始まる

白河桃子先生からは、ビデオメッセージが届けられました。その中で、女性の健康を支えるうえでの「連携」の重要性についてのお話がありました。婦人科、泌尿器科、漢方、医療、教育、行政――。それぞれの専門領域には、それぞれの知識があります。
けれど、女性の身体や人生は、一つの診療科だけで完結するものではありません。月経、妊娠・出産、更年期、睡眠、メンタル、働き方、家族との関係。それらはすべて、ひとりの女性の人生の中でつながっています。
政府は2026年6月25日に「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2026(女性版骨太の方針 2026)」を決定し、重点分野の一つとして「女性の生涯にわたる健康支援」を掲げています。ついに今年女性の健康について最重要課題として国家での取り組みが表明されたことになります。
だからこそ必要なのは、「誰が、どのタイミングで、どの支援につながるのか」という仕組み。そして、何より大切なのは、本人が自分の身体について知り、自分自身で選択できること。
という考え方は、これからの女性の健康を考えるうえで、とても大切な視点だと感じました。
植物は、ずっと私たちのそばにあった

今回のイベントのもう一つの大きなテーマが、植物療法/フィトテラピーです。
アルナール先生は、フランスで産婦人科専門医として活動する一方、植物療法の教育にも長く携わってきた専門家。
レセプションでは、植物が古くから人々の暮らしや健康と深く結びついてきたこと、そして、その知恵を次の世代につないでいくことの大切さが語られました。

産婦人科専門医松峯寿美先生からは2日間通して、人びとが昔から植物を利用しセルフケアを行ってきたいくつかの身近な事例があげられました。人びとは古来より植物の力で不調をやわらげ癒すため使われてきました。春の七草、秋の七草も薬草だったこと、土から鉱物を吸い上げた植物や野菜を、動物が食べ、ミネラルを頂くその循環が自然の状態である事。松峯先生はたくさんの臨床経験の中から中高年の膣ケアの大切さ、怖い、不潔とされる概念が是正される世の中を願うと同時に、子育てってこんなに楽しいし将来性があるという事をたくさんの方に実感していただける社会の実現を目指して産後ケア施設などを運営されておりました。
森田先生からも今では一般的な製薬ももともとは植物の成分として発見されたものであることが事例としてあげられました。植物の科学的な側面を学ぶことで、機能性成分を理解し扱えるようになることが植物療法にできる事であることが伝えられました。
1961年、すべての国民が何らかの公的医療保険に入れる「国民皆保険制度」が確立したことで、医療機関へのアクセスがしやすくなった一方、セルフケアの概念というものは薄れていきました。外来に来院される方も不定愁訴を訴える方(不眠、慢性的疲れ、更年期の不調、月経障害、食欲不振、自律神経の乱れ、鬱など)が増え、心電図を撮ったり、血液検査をしてもはっきりした診断結果がつかないという症状をお持ちの方もたくさんいらっしゃるそうです。年齢性別を問わずセルフケアを行える環境というものが大切になってきます。

10月3日の講演では、さらに植物と人類の長い歴史、フランスにおける薬草文化、エルボリステリー(薬草学)からフィトテラピーへと発展してきた歴史などについて、幅広い内容が紹介されました。
植物療法というと、「自然だから身体にやさしい」というイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、アルナール先生の講演で印象的だったのは、むしろその反対でした。
自然なものだから、すべて安全とは限らない。
植物にはそれぞれの性質があり、使う部位や方法、量、体質、薬との相互作用などについて正しく知る必要があります。つまりフィトテラピーとは、単に「自然のものを取り入れる」ということではなく、植物について正しく知り、その力を適切に活用していくための知識と実践なのだと感じました。
地中海式食事法や運動やストレス管理など生活習慣に関しても語られ、先生自身の恋や家族の話など年齢を重ねても精力的に活躍されているアルナール先生の魅力が満載の講演でした。
女性の身体は、一生を通してつながっている

10月3日の講演では、対馬ルリ子先生とアルナール先生による、女性の健康支援の未来についての講演も行われました。 対馬先生が語ったのは、女性の人生を「妊娠・出産」だけで切り取らないという視点。婦人科専門医として長く女性の健康に向き合う中で、
妊娠・出産
↓
産後
↓
働く女性の健康
↓
更年期
↓
老年期
と、一人の女性の人生はすべてつながっているといいます。 そして日本では、女性が真面目で我慢強いからこそ、「これくらい普通」「年齢のせい」「忙しいから仕方ない」と、不調を抱えたまま頑張ってしまうことも少なくありません。
だからこそ、必要なのは「我慢すること」ではなく、自分の身体の変化に気づき、必要なときに適切なサポートにつながること。
「支援がある」だけでは足りない

今回、対馬先生のお話の中で特に印象に残ったのが、「制度があるかではなく、必要な時に迅速につながって動けるか」という考え方でした。
医療がある、相談窓口がある、行政の制度がある、専門家がいる、それだけでは十分ではありません。必要な人が、必要なタイミングで、その支援につながることができるのか。そして、その先で専門職が連携し、社会が受け止められるのか。講演では、そのための現場を動かす原則として、
「本人が決める」
「専門職が動く」
「社会が引き受ける」
という考え方も示されました。これは女性の健康だけではなく、これからの社会全体に必要な視点なのかもしれません。
「セルフケア」は、医療の代わりではない

もう一つ、今回のイベントを通して考えさせられたのが、セルフケアと医療の関係です。私たちは、以前よりも簡単に医療機関へアクセスできるようになりました。一方で、ちょっとした不調に対して、自分の身体の変化を知り、自分でケアするという感覚が薄れてきたのではないか――。そんな問題提起もありました。
もちろん、セルフケアですべての問題を解決できるわけではありません。医療が必要なときには、医療につながることが大切。
だからこそ、
「セルフケアか、医療か」ではなく、
「セルフケアと医療をどうつなぐか」。
この視点が、これからの女性の健康を考えるうえで重要なのではないでしょうか。
女性が元気だと、みんなが元気になる

イベントの中で、心に残った言葉がありました。
「自分の身体を愛でて、管理していく」
最新の医学だけではなく、土から生まれた植物の知恵にも目を向けながら、自分自身の身体を知る。
誰かに言われたからではなく、自分のためにケアする。
そして、その先には、「女性が元気だと、みんな元気になる」という考えがあります。
女性自身が健康で、自分らしく生きることは、家族にも、仕事にも、地域にも、社会にもつながっていく。だからこそ女性の健康は、「女性だけの問題」ではないのだと思います。
自分の身体に、もう少し耳を傾けてみる

今回の3日間は、植物療法について学ぶ機会であると同時に、「私たちは、自分の身体とどう付き合っていくのか」を考える時間でもありました。
月経の変化、眠りの変化、疲れやすさ、更年期のゆらぎ、気持ちの変化、年齢とともに変わっていく身体。
それらを「仕方ない」と片付けるのではなく「今、私の身体は何を伝えているんだろう?」と立ち止まってみる。必要なときには専門家に相談する。
自分でできることは、自分のために少しずつ取り入れてみる。
そして、自分だけでは難しいことは、誰かとつながる。
女性の健康をめぐる環境は、少しずつ変わっています。
でも、その変化を本当のものにしていくのは、制度や専門家だけではありません。
私たち一人ひとりが、自分の身体について知り、声を上げ、選択していくこと。
その積み重ねが、次の世代の女性たちにとって、もっと生きやすい社会をつくっていくのかもしれません。
今回のイベントは、そんなことを改めて考える3日間でした。
Event Information

AMPPアジア支部設立記念 プレス発表会&レセプション
開催日: 2026年10月2日(金)
会場: 在日フランス商工会議所
AMPPアジア支部設立記念 特別セミナー
開催日: 2026年10月3日(土)
第1部: 女性のライフステージに寄り添うフィトテラピー
第2部: 日仏の女性医療の現在と未来
会場: AP品川
登壇者として、ベランジェール・アルナール医学博士、森田敦子先生、対馬ルリ子医学博士らが参加しました。
ルボアフィトテラピースクール交流会
開催日: 2026年10月4日(日)
会場:ルボア フィトテラピースクール(https://phytoschool.com/)
在校生・卒業生メインの交流会ほかワークショップ、相談窓口
AMPPアジア支部の設立によりフランス発世界基準の植物療法(フィトテラピー)の学びの輪を日本からアジアへ広げる拠点として、以下3つの活動を予定しているという事です。
1⃣2027年度に「フィトテラピー検定(仮)」を実施できるように準備を進め、また日の間口を大きく広げます
2⃣台湾・マレーシアなどアジア各国へ、フランス式フィトテラピーの学びを広げます
3⃣高齢化社会の日本で培う「医療と植物療法の実践」を、よりアジアへ

今回のイベントを通して感じたのは、女性の健康は「自分だけで頑張るもの」でも、「病院に任せるもの」でもないということ。自分自身が身体を知り、日々の生活を見直し、必要なときには専門家に相談する。
そして、専門家や社会の側も、必要な人に支援が届く仕組みをつくる。
自分を大切にすることと、社会の仕組みを変えていくこと。
その両方があってこそ、女性が自分らしく人生を歩めるのではないでしょうか。
Ly:setも、その「つながり」の一つになれるように。
これからも、女性の身体と心について、一緒に考えていきます。
監修: Lyset Jensen