【泌尿器科医監修】夏に増える「膀胱炎」──正しく知って、健やかに過ごすために
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Lyset Jensen
「膀胱炎」と聞くと、冬の寒い時期に多い病気を思い浮かべる人も多いかもしれません。
けれど実は、汗をかいて水分が不足しやすく、下半身が冷えやすい夏こそ、膀胱炎のリスクが高まる季節です。
今回は、浅草橋西口クリニックMo院長の 頴川 博芸(えがわ ひろき)先生 に、夏に膀胱炎が増える理由や、女性特有のリスク、そして予防のためのフェムケアについてお話を伺いました。
なぜ夏に膀胱炎が増えるの?
膀胱炎は、主に細菌(多くは大腸菌)が尿道から膀胱に侵入し、炎症を起こす病気です。
夏にリスクが高まるのは、次のような生活環境が重なるからです。
1.水分不足による尿の停滞
汗で水分が失われるのに、水をあまり飲まないと尿が減り、本来排尿によって対外に排出されるはずの細菌が膀胱内にとどまりやすくなります。
2.ムレによる雑菌の繁殖
通気性の悪い下着やナプキンでデリケートゾーンが高温多湿になると、外陰部や尿同行付近で雑菌が増えやすくなります。特に、外出先で長時間着替えられなかったり、ナプキンをこまめに交換できないと、感染のリスクが高まります。
3.冷房による下半身の冷え
冷房の効いた室内や電車、オフィスなどで長時間過ごすと、下半身が冷えやすくなります。下半身が冷えると血流が悪くなり、免疫力が低下して細菌への抵抗力が落ちてしまいます。

女性がかかりやすい理由
膀胱炎は、男性より女性に多い病気です。その背景には、女性ならではの身体の特徴とホルモンバランスの影響です。
・尿道が男性より短く、外陰部から細菌が侵入し膀胱に到達しやすい
・生理・妊娠・更年期などホルモン変化の時期に、膣内環境や粘膜のバリア機能が低下しやすい
・ナプキン使用や性交渉など、外部からの物理的刺激が多い
さらに、便秘も膀胱炎の要因になり得ます。直腸に便がたまると膀胱が圧迫され、排尿が不完全になったり、腸内細菌が尿道に近づいたりするためです。

フェムケアでできる膀胱炎予防
近年注目されている「フェムケア」は、単なる美容ケアではなく、健康の土台を整えるケアです。膀胱炎を防ぐには、日常生活の中で小さな工夫を続けることが大切です。
フェムケアの視点を取り入れると、より快適に過ごせます。
・通気性の良い下着を選ぶ
化繊ではなく綿素材の下着を選び、パンツスタイルよりもスカートなど通気性の良い服装もおすすめ。
・ナプキンやシートは数時間ごとに交換
・尿意を我慢しない
尿意を感じたら我慢せずに排尿する習慣を。排尿を我慢すると、膀胱内に長時間尿がとどまり、細菌が繁殖しやすくなります。
・性交渉後は排尿/シャワーで清潔に
性交渉後は、尿道口に細菌が付着しやすくなっています。排尿をして尿道を洗い流すこと、可能であれば軽くシャワーで洗浄するのも有効です。
・洗いすぎは逆効果
デリケートゾーンは、弱酸性の環境を保つために常在菌(乳酸菌など)がバランスを取っています。市販のボディソープなどで強く洗いすぎると、善玉菌まで減ってしまい、かえってトラブルの原因に。専用のフェムケアソープやぬるま湯でやさしく洗いましょう。

水分補給は最大の予防策
膀胱炎予防のカギは、実はとてもシンプル。「水をしっかり飲むこと」です。
☑1日1.5〜2リットルを目安にこまめに補給(食事に含まれる水分を除いた量)
一気飲みせず、こまめに分けて摂る。 夜間のトイレ対策のために、寝る2時間前以降は控えめに。
☑汗をかいたあとや起床時、入浴後は特に意識して
特に朝起きた後・外出時・入浴後・運動後など、汗をかいた後は意識的に水を飲む。
☑コーヒーや紅茶などカフェイン飲料より、水やノンカフェイン茶を選ぶ

受診をためらわないで
どれだけ予防しても、体調やストレスによって膀胱炎になることはあります。期症状を見逃さず、早めに対処することが重要です。
よくある症状は、
・排尿時のツーンとした痛み
・頻尿・残尿感
・濁った尿や血尿
・下腹部の重だるさ

症状が軽ければ、水分を多く摂って排尿を促すことで改善する場合もありますが、2日以上続く、強い痛みがある、発熱を伴う場合は必ず医療機関を受診しましょう。放置すると腎盂腎炎などへ進行することがあります。
膀胱炎は「一度なると繰り返しやすい」と言われますが、日常のちょっとした工夫で防ぐことができます。
夏特有のムレや水分不足といった環境要因を正しく理解し、自分の身体と対話しながら丁寧にケアしていくことが大切です。
フェムケアは美容や快適さだけでなく、実はこうした予防医療の面でも重要な役割を果たします。ぜひこの夏、膀胱炎知らずの快適な日々を目指して、今できるケアから始めてみましょう。

頴川博芸先生
浅草橋西口クリニックMo 院長
日本専門医機構外科専門医 / 日本医師会認定産業医 / 日本温泉候物理医学会温泉療法医
消化器外科医として上部消化管や胆嚢、虫垂の疾患、鼠径ヘルニアの治療に携わる一方で、訪問診療や産業医としての経験も積み、長年にわたり膀胱炎をはじめとする尿路感染症、前立腺疾患、女性泌尿器の診療を行ってきました。地域に根ざしたクリニックとして、正しい知識の普及と、誰もが安心して相談できる医療環境づくりを大切にしています。趣味は旅行。「あなたに寄り添う、根拠に基づいた医療」をモットーに、科の垣根を越えて幅広く診療を行っています。
監修: Lyset Jensen