【PMSをテーマにした写真展】『Beautiful blind world』@心斎橋hill.top.gallery
“1日10分じぶん時間をとって輝いて欲しい”
そのような願いで情報を発信しているの!
Lyset Jensen
大阪心斎橋にあるart / photo galleryであるHILL TOP GALLERY。このギャラリーは写真に刺繍をほどこす繊細な作品を多数生み出し、「網膜の先の世界を見出す」ことをテーマに、身体的な感覚を重視した制作過程で作品を発表しておられるアーティストの澄毅(すみ たけし)さんがキュレーションを手がけている。2025年4月19日(土)から29日(火)の期間でグループ展「Beautiful blind world」が開催されます。
美しく盲目の世界。
見える世界の先にも美はあるのか。その問いは主体性を浮遊させ、表現すべき世界を改めて提示する。時に自身の身体や記憶と結びつけ、時に「普通」の世界にノイズを与える。表現と時間と身体の先にそれぞれの美を見出す3人の展覧会。

今回出展されるフォトグラファーの大久保 咲季さんは、PMS※をテーマにしているということで、どうしてPMSを写真で表現しようと思ったのか、作品を通して見る方たちに何を伝えたいのか、写真に込めたその想いを伺ってみました。
※月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)は、月経の前に現れるこころとからだの不調です。
さまざまな症状が月経前に3~10日間くらい続きますが、月経が始まると自然に軽快・消失します。
日本人女性の70~80%が月経前に何らかの不調を自覚しており、5%は重い月経前症候群で日常生活に困難を感じています。月経前症候群は、特に思春期の女性で多いといわれています。
(出展:公益社団法人日本産婦人科学会)
フォトグラファーになったきっかけ
リゼット:写真を撮り始めたのはいつ頃からなんですか?
咲季さん:写真はずっと大好きで学生の頃から趣味で撮っていました。映画が好きで大学を卒業し、広告代理店に就職して好きな映画のPRなどを行う仕事をしていたのですが、コロナ禍でずっと写真をやりたいと思っている自分の気持ちに気づき、本格的に学びたいとミラーレス一眼を購入して、京都芸術大学の通信教育部に入学し、仕事と両立しながら写真について学んでいます。
リゼット:咲季さんにとって、そんなにひきつけられた写真の魅力とはなんだったのでしょうか。
咲季さん:もともと写真に限らず様々なアートが好きだったのですが、写真は一瞬でフレームの中にアートがつくれるという気軽さと奥深さが同居しているところが魅力だと感じました。
リゼット:咲季さんは現在都内を中心に活動されているということですが、大阪のギャラリーとのご縁はどのように生まれたのでしょうか?

咲季さん:今学んでいる京都芸術大学の講師を務めていらっしゃる澄毅(すみ たけし)さんに、やってみないかとお声がけいただきました。今回は3人展で、まだ他2人のアーティストさんにはお会いできていないのですが、奈央さんは体内記憶を呼び起こすような根源的テーマであったり、Kozaki + Yoshino=Shoheiさんは写真とペインティングを融合させた手法を用いた展示を予定しているということで実際にお会いするのを私自身も楽しみにしています。19日には澄さんとアーティスト3人のギャラリートークもありますし、21日まではわたしも在廊予定です。
どうしてPMSをテーマにこの作品を撮ろうと思ったか
リゼット:咲季さんがどうして今回のテーマをPMSにされたんですか?
咲季さん:今回のテーマが「うつくしい盲目の世界」ということで、見えないけれども、美しいものをアートとして顕在化させようと思った時に、去年の秋に自分に起きた出来事が強く影響しています。わたしは生理痛もそんなにつらくなくそれまで生理で悩む事はあまりありませんでした。しかしその時期くらいから、気分の落ち込みや、ちょっとしたことでイライラしてしまい、身近にいる人に当たってしまったりする出来事が増えてきました。その時の心情をノートに書き出したり、その状態でがむしゃらに写真を撮ったりしていました。その時はその症状がPMSということに全く気付いておらず、自分が自分でなくなるような感覚のまま、何か月かその状態で過ごした後、ふと他愛もない友人と会話中に不調の話をしていた時、それってPMSじゃない?と言われ、やっとそれらがPMSの症状だということに気づいたんです。
暗闇に落ちてしまっているような感覚に怖くなって婦人科を受診するとホルモンのコントロールのためにピルを処方されましたが、副作用が出て嘔吐してしまいました。もともと自然のリズムに逆らう感じがしてピルに良い印象を持っていなかったためもあるのか、ピルのシートの計画通りに薬を飲むという、ピルに支配されているような感覚や、生理周期よりもつらいと感じる副作用に耐えられず、そのことをまた婦人科で相談すると、先生に体を動かすのが好きなら運動をしてみるのはどうでしょう?と言われ、ジムに通い始めて定期的に運動をするようになると、その症状は今ではほとんど改善されメンタルもフィジカルも健康になりました。
成長する過程でどこか生理の話を公に話すことはタブーと感じていて、オープンに話すのを躊躇っていたけれど、そうやって隠してしまったり、悩んでいる方がたくさんいるであろうことにその出来事を通して気づきました。見えないからこそ周囲に伝えることが大切で、自らがオープンになることで環境が好転していきました。
リゼット:わたしもPMSで、自分が自分ではなくなる感覚わかります。性格も考え方も普段の自分ではなくなってしまうんですよね。
作品を通して伝えたい事

咲季さん:目には見えないPMSがもし目に見えたら。作品を通じて「バランスが崩れるのもバランスで、そのインバランスも肯定してあげたい|LOSING BALANCE ALSO BALANCE」そんなメッセージを伝えたいと思っています。女性ホルモンに抗えず、自分を責め、メンタルも落ちる、でもそんな時も人生の中でみたら大きなバランスをとる中での一環なんだと気づいたんです。
落ち込んでいる時の写真も真っ暗なものにはしたくない思っています。例えばニキビができてしまった時も、普段ならそこまで気にしないはずなのにPMSの時は、こんなニキビができちゃって可愛くない、性格も…とどんどん普段の自分なら思わないような事までマイナスに考えて気にしてしまいます。でもそうやってバランスを崩してしまっているあなたもそのままでも美しいよと、すべてを肯定したい。

道の水たまりだって、下を向いている時にしか気づかない、落ち込んでいる時にしか見えない世界が存在すると思っています。落ち込んでいる時だからこそ、彼のやさしさに改めて気づいたり、しおれた花も満開の晴れやかさとの対比でしっとりとした美しさが逆に引き立ちます。
リゼット:展示のフライヤーになっているジェリービーンズの写真はどういう想いで撮られたのですか?

咲季さん:これはピルを想起させるような、ネガティブなイメージで撮ったんです。ちょうど気分の落ち込みやイライラで自分の複雑な感情と葛藤していた時です。友人に相談する前くらいですかね。実はアメリカに留学していた時期があって、その時1年間生理が止まっていました。環境の変化やストレスのせいだったんだと思いますが、帰国して婦人科を受診し生理を起こすためにピルを処方されました。その時初めてピルを飲んで副作用で体調がより悪くなる経験をしていたので、PMSと診断されピルを飲まなければならないかも…という状況になって、こいつとまたむきあわないといけないのかな、、、という感情がありました。心の平穏を取り戻すためには必要だけれども本当は避けたい=かわいらしいけれど小憎たらしい存在というイメージを重ねています。わたしにはつらかった時の想いを文章やイラストで書きためているPMSノートがあります。これから創る今回の展示のフォトブックにそのような想いを書こうと思っています。会場にも来場者様の記帳ノートを設置する予定なので、ご感想をいただけたら嬉しいです。
PMSの時の気持ちに共感してくださる同じ気持ちの方がいたらうれしいですし、不調があってもPMSと気づいていない方がいたら、それはPMSなんだと気づいてもらいたい、そして違う考えの方の意見も聞きたい、見てくれる人の価値観にゆだね、作品を楽しんでいただけたらと思っています。
リゼット:咲季さん、今日はありがとうございました。展示、楽しみにしています!
■開催概要
期間 2025年4月19日-29日
金-月曜日&祝日 open
金 11:30-19:00
土日 11:30-18:00
月祝 11:30-17:00
■ギャラリートーク
4月19日 14:30-15:30
澄毅(写真家/芸術家)×出展作家
入場無料・予約不要
■場所
HILL TOP GALLERY
〒542-0081 大阪府大阪市中央区南船場2丁目6-22
ギャラリーのキュレーターである澄さんは、この場所を「質の高い展示を行うと同時に、主に写真表現について学び交流できる場所を目指しています」ということでした。さまざまな方の想いが交差してPMSについて気づきや共感の機会になりますように!

God dag! リゼットです。
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監修: Lyset Jensen